梅雨になると、
・体が重い
・朝から疲れが取れない
・頭痛が増える
・胃がスッキリしない
・むくみやすい
・気分が落ち込みやすい
このような不調を感じる方が増えてきます。
漢方では、この季節は「湿(しつ)」という余分な水分の影響を受けやすい時期と考えます。
湿は体の巡りを悪くし、胃腸の働きを弱らせ、自律神経のバランスにも影響を与えます。
だからこそ梅雨の養生では、「何を食べるか」よりも、「何を減らすか」がとても重要になります。
冷たい飲み物は思っている以上に体を冷やしています
「私は氷は入れていないから大丈夫。」
そう思われる方は意外と多いです。
しかし漢方では、「冷たいもの」は氷が入っているかどうかでは判断しません。
体温より温度が低いものは、すべて体を冷やすものと考えます。
冷蔵庫から出したばかりのお茶。
冷たいサラダ。
冷えたヨーグルト。
これらも胃腸から体を冷やし、消化吸収の働きを弱めてしまいます。
胃腸は、食べ物から「気(エネルギー)」を作る大切な臓器です。
胃腸が冷えて働きが低下すると、
・疲れやすい
・むくみ
・食後の眠気
・胃もたれ
・便秘や下痢
など、さまざまな不調につながります。
暑い季節だからこそ、常温や温かい飲み物を選ぶだけでも、胃腸への負担は大きく変わります。
疲れた時ほど甘いものが欲しくなる理由
疲れると甘いものが欲しくなる。
これは決して意思が弱いわけではありません。
脳は素早くエネルギーになる糖を求めている状態だからです。
しかし、ここで知っておきたいのが**「糖反射」**という現象です。
糖反射とは、胃の中に一定濃度以上の糖質が入ると、反射的に胃の蠕動(ぜんどう)運動が一時的に低下する現象を指します。
研究では、ごく少量の糖でも胃の動きが一時的に抑えられることが確認されており、特に濃度の高い糖質が急激に胃へ入ることで
起こりやすいと考えられています。
これは、胃の中の糖濃度が高くなることで、自律神経が反応し、糖が十分に薄められるまで胃の運動を抑制するためと考えられて
います。
そのため、
・空腹時に甘いものを食べる
・甘い飲み物を一気に飲む
・疲れた時にお菓子で済ませる
といった習慣では、胃の消化活動が一時的に鈍くなり、
・胃もたれ
・食後の眠気
・消化不良
・お腹の張り
といった不調につながることがあります。
漢方では、胃腸は食べ物から「気(エネルギー)」を作る最も重要な臓器です。
疲れている時ほど胃腸を元気に働かせることが大切なのに、甘いものの摂り方によっては、かえって胃腸を休ませてしまうこともあ
るのです。
エンプティーカロリーという考え方
もう一つ知っていただきたいのが、「エンプティーカロリー」という考え方です。
甘いお菓子やジュースはカロリーこそ高いものの、
・ビタミン
・ミネラル
・たんぱく質
といった、体が本当に必要としている栄養素はほとんど含まれていません。
さらに糖をエネルギーへ変えるためには、ビタミンB群やマグネシウムなどの栄養素が使われます。
つまり、
糖反射によって胃腸の働きが低下し、さらに糖を代謝するために栄養素まで消費してしまう。
これでは、一時的に満足感は得られても、本当の意味で疲労回復にはつながりません。
「食べたのに元気が出ない。」
そんな状態を繰り返してしまう原因の一つにもなります。
現代人に必要なのは「引き算の養生」
養生というと、
「何を食べればいいですか?」という質問をよくいただきます。
もちろん、体に良い食材を取り入れることも大切です。
しかし現代人は、
・冷たいもの
・甘いもの
・食べ過ぎ
・夜遅い食事
など、胃腸へ負担をかける習慣がとても多い時代です。
だからこそ最初に取り組みたいのは、
体に良いものを足すことではなく、体に負担をかけるものを減らすこと。
これが「引き算の養生」です。
特別な食材も、高価なサプリメントも必要ありません。
費用もかからず、体の変化も比較的早く実感しやすい養生法です。
今日から始められる3つの引き算
梅雨の時期は、まず次の3つだけ意識してみてください。
① 体温より冷たい飲み物・食べ物をできるだけ控える
② 空腹時や疲れた時に、甘いものだけで済ませない
③ 「何を食べるか」よりも、「何を減らせるか」を考えてみる
養生というと、「体に良いものを取り入れる」ことばかりが注目されがちです。
もちろんそれも大切ですが、まずは体の負担を減らすこと。
それだけでも胃腸は本来の力を取り戻し、巡りが整い始めます。
先人たちが長い年月をかけて積み重ねてきた養生の知恵は、「特別なことをする」のではなく、「体に負担をかけない暮らしを続け
ること」でした。
忙しく、情報や物にあふれた現代だからこそ、「引き算の養生」が、私たちの体を整える第一歩になるのではないでしょうか。
